日本も核を持つべきだ!?
- 水道橋博士
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さあ、これは中々、地上波でやったらだめな…。
- 宮崎哲弥
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これは面白いね。
- 水道橋博士
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「日本も核を持つべきだ」。
- 宮崎哲弥
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条件付き (「Yes」)。
- 青山繁晴
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「No」です。
- 水道橋博士
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これはプレイボーイとかでもよく書いてますけど…。
- 宮崎哲弥
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いや、プレイボーイでは、「核を持つべきだ」となんて言ってない。
- 水道橋博士
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そこまでは踏み込まないけど、この問題について書いてますよね。
- 青山繁晴
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宮崎さん、「No」かと思ってた。
- 宮崎哲弥
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いや、ずーっと「No」かと思ってたんだよ。私は「条件付き Yes」です、ずーっと前から。青山さん誤解してるんだけど、「条件付き Yes」。現状では「No」。
- 青山繁晴
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うーん。どんな条件?
- 水道橋博士
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非核三原則の中で、「持ち込まず」まで言うけど、「持ち込まず」なんて守られてないし…。
- 青山繁晴
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守られてません。
- 水道橋博士
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今や、四原則で「語らず」って、このことを語るのもだめだ、っていう…。
- 青山繁晴
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めちゃくちゃです。それは絶対にだめです。どんどん論議しましょう。それが抑止力になりますから。で、こんな技術を持ってるってことも、どんどん宣伝した方がいいです。
- 宮崎哲弥
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私が青山さんの問いに答えて言うと、先ほどね、アメリカは、北朝鮮のように 1 度核を持ってしまった国に対しては、非常に寛容に対処せざるを得ないと仰いましたよね。
これの論理を敷衍していけば、「なんだ。じゃあアメリカに対処するためには、俺の所も持てばいい」と。ベネズエラが持つかもしれない。それに対抗して色々な国が持ち始めますね。そうなった場合には、日本も持たざるを得ない、というのが私の…。
- 青山繁晴
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ああ、そういう条件。状況の変化という意味ですね。
- 宮崎哲弥
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もちろん。要するに、NPT (核拡散防止条約) が完全に崩壊した時は、日本も持たざるを得ないと思う。
- 水道橋博士
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証明しているのは証明している、ってのはありますもんね。
- 青山繁晴
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あのね、僕は、あくまで専門家の立場として「核を持つべきじゃない」と申してるんですけど、同時に…。
- 水道橋博士
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「核は持てますが」っていうようなところですかね。
- 青山繁晴
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そうです。「敢えて持たない」ってことなんです。
- 水道橋博士
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「日本は十分持てますが」ってところですね。
- 青山繁晴
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この番組は、言いたいことを言っていいそうですが…。
- 宮崎哲弥
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構わない。
- 水道橋博士
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構わないです。
青山的「核は持たない」論 その真意を激論する
- 青山繁晴
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もう 1 回言いますが、僕は軍事評論家じゃなくて、本業は戦略家ですけど、やっぱり僕は思想を語らんとしているわけです。だから、「日本が核を持たない」というのは、この国の新しい、新しい私たち自身の理念として申しているんですね。
- 水道橋博士
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意志だと。
- 青山繁晴
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はい。
僕は、これを言う時に、必ず「僕自身は命がある限り日本の核武装に反対する」と言っている。それを、僕が敬愛する漫画家の小林よしのりさんが、漫画をお描きになっていて、僕はこの件を直接小林さんに言ったことはことはありませんけど、漫画の中でね、「青山を多少信頼してのに、命ある限り日本の核武装に反対する、なんてことを言って」、朝生で、「そういう風に発言して、いい子ぶりっ子したので、ガッカリした」とお描きになっているわけです。
これは、僕からすると、真逆、逆さまの話であって、いい子ぶりっ子してるのは、現在核武装に反対している評論家やジャーナリストですよ。僕は、朝鮮半島が、いずれ、核はもう無くならない、南北朝鮮が統一、形だけ統一したようなことになって、日本の新聞が「朝鮮半島に平和が来た」と言っているのに、核はなくならないとなったら、日本国民は、やがて核武装を選ぼうとするから、今いい子ぶりっ子をして反対してる人達は、その時になったら、絶対に翻しています。「やっぱり、状況が変わったから日本は核を持つべきだ」となっている。
だから、僕が言っているのは、今自分がいい子ぶりっ子したいんじゃなくて、必ず僕は孤立するとわかっているからです。やがて 2011 年以降、あるいは、2015 年、2020 年になって、僕が生きているとしてです、僕は必ず少数派に転落しているから。自分でタガを嵌めているわけです。「命ある限り」と言った以上は、僕はもう変えられないじゃないですか、生きている間は。だから言っているんでね。
で、もう一つは、周りが核武装をしていった時に、この国はどうするか? になった時に、これは憲法改正を含めて、この国で民主主義っていうのが登場したのは、たった 62 年前が最初なんです。最初はアメリカがきっかけをもちろん作ったんですけど、日本を戦争で破ることによって。しかし、その後は、たくさんの問題・矛盾を抱えながらも、この部屋にいるこの 3 人も含めて、僕ら自身が民主主義を作ってきたじゃないですか、オリジナルの。オリジナルって、例えば「天皇制と共存をする」、そういうオリジナルの民主主義を作ってきたでしょう。
ということは、私達が、子供たちや孫の世代に向かって、日本はこれから自分達のどんな新しい理念を持つのか。この 60 年間っていうのは、日本は 2000 年で初めて戦争に負けたから、ガーンってショックを受けたまま、全部アメリカ様にお任せするってことできたから、憲法九条も過去の否定だけがあって、一項も二項も過去の否定でしょう? 新しく何をするかの第三項はなくて済んだわけです。しかし、これからは、自分達が新しく何をするかを考えなきゃいけない。
その時に、この国には理念が必要で、つまりこの国を危うくする敵は、兵士や、あるいは武器や、あるいは軍事施設は徹底的に破壊すると。だから僕は「日本は軽空母を持つべきだ」、「原子力潜水艦を持つべきだ」、その前提として、「国民軍を持つべきだ」と。日本の 2000 年の歴史で、初めて国民主権下の軍隊を持つべきだと。しかし核は持たないというのは、私達は、兵士は殺しても、これは国際法が認めていることだから、しかし一般民衆、直接戦争に関わっていない人々は断固殺しません、っていうのが、この国の理念だと思うからです。
それは広島・長崎の体験を、センチメンタリズムで被爆体験としているんじゃなくて、リアルに見ると、アメリカが何で核を持った国に急に優しくなるかというと、広島・長崎に最初に入ったのはアメリカ軍の調査隊だったわけです。日本にも渡していないけど、ワシントンで、辛うじて、辛うじて垣間見たそれを見ると、アメリカ自身が、核がどんなに普通の民衆を、女性と子供を中心に殺すかを一番わかっているから、アメリカは核を持った国には急に優しくなるわけです。そうすると、被爆体験をもう 1 回、全部根っこから掘り返して、アメリカの資料も全部取ってです。
その上で私達は、民衆は殺さないんだと。だから、日本は世界に冠たる民主国家で、アメリカやイギリスよりも、あるいは中国よりも、遥かに道義的な、トップに立つ国だっていうのが、僕らのこれからの、子々孫々の民主国家だと思うから、核だけは持たない。民衆は殺さない。その代り、敵は徹底的に、いざとなったら殺害する。どうしてか? 根拠は、国際法があるから。国際法っていうのは、間違っている部分もいっぱいあるけど、人間が苦しみながら作ってきた、ようやく作ってきた、最低限の共通のルールだから、それに (聞き取れません) をするのは、僕は正しいと思うからです。
だから、最終的に国民合意として核を持つことになったら、僕がその時に生きていたら、国民がそうなったら、その時は頭を下げて「そうですか。従います」に、それはなります。しかし、僕個人、思想家としての僕は、私達の理念は、民衆は殺さない、敵は殺すという理念だと、そういう考え方なんです。
理想と現実の狭間で揺れる核保有論
- 宮崎哲弥
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この方はね、かように、イデアリストなんです。理想主義者なんです。
- 水道橋博士
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それは仰っていますよ。
- 宮崎哲弥
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私はね、リアリストだから、例えば、「一般民衆は殺さない」と言っても、これは通常兵器でも殺せるわけです。今、クラスター爆弾が、どれほどイラク全土にアメリカがばら撒いたクラスター爆弾が一般民衆を殺しているか。あるいは、私達自身の経験からも、東京空襲、アメリカ軍が行った都市空襲というのは、原爆と同じくらいの被害を一般民衆にもらたしているわけ。
そういう意味では、核という物は、大変大量虐殺をする究極の武器ではあるけれど、しかしながら、その民衆を殺す可能性という点においては、一般の通常兵器と変わるものではないし、段々、通常兵器の方も、レベルが悪い意味でかもしれないけど上がってきているので、同じように大量虐殺ができるようになっている、という現実を踏まえた上で、私は、場合によっては、哀しいかな、持たざるを得ない場合というのが来るかもしれない、と思っている。
- 青山繁晴
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ちょっと反論していい?
2 点反論があってね、僕は、宮崎さんが言った通り、理想主義者ではあるけれど、センチメンタリストではないので…。
- 宮崎哲弥
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それはわかっている。
- 青山繁晴
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うん。リアリズムと理想を、どうにかこうにか共存させたいというのが、僕の願いです、命ある限りです。
それが一つと、っていうのは、日本が核を持つべきじゃないというのは、理想論じゃなくて、あくまでリアリズムに乗っかってて。そのリアリズムって言うのは、軍事技術の進展のリアリズムを考えると、日本のハイテクノロジーを使えば、民衆の被害を、周辺被害を最小限に抑える軍事技術を可能だと思っています。今現在でも、既に可能だと思っている。
で、核のように、最初から、とにかく無条件に大量虐殺をする思想を持った兵器と、しかし、民衆は、はっきり言って周辺被害は起きるけれども、最小限度に食い止めるために懸命に努力した兵器は、同じ兵器でも思想が違うんです。「国民軍」にとって大事なのは、軍というのは何をしてもいいというわけじゃなくて、思想を持つという事が大事だと思っているから。
だから、決して理想論だけ言っているんじゃなくて、でもリアリズムだけでも寂しいし、理想論だけでも嘘になるから、それをどうにかして両立させるっていうのが、人に押し付けることはできないけど、僕と、僕は息子に喋っていること、あるいは独立総合研究所の研究員たちに僕なりに喋っているのは、そういうことなんですよ。皆さんに押し付けるつもりは夢ないけれども、自分の生き方としてはそうなんです。
核保有議論を戦わす時は必ずやって来る
- 水道橋博士
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お二人とも、どのくらいの単位かは知りませんが、「日本が核保有国になるだろう」…。
- 宮崎哲弥
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そういう議論が、日本の中で真剣に戦わされる時期が来るというのは間違いない。
- 青山繁晴
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あっという間だと思います。だって 2011 年って言ったって、今から 4 年後ですよ、もう。だから、10 年後には、核保有論者の方が遥かに多数派になってます。
- 宮崎哲弥
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ちなみに言っておくけどね、私は北朝鮮が核武装した程度では、日本が核武装していいとは言わない。もっと厳しいからね、俺の条件。
- 青山繁晴
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もっと拡散した場合。インドネシアもフィリピンも、もちろん台湾も持った場合。そいう言う意味ですね。
- 宮崎哲弥
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そうそうそう。そういうこと。
- 水道橋博士
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これ、4 年後には結果がわかりますから、どうなっているか。
- 青山繁晴
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はい。私、生きていれば、また出ます。
- 水道橋博士
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あのー、もう出ないでください。
- 青山繁晴・宮崎哲弥
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(笑)。