『博士も知らないニッポンのウラ』第 7 回 青山繁晴 - 前編 5

北朝鮮の核のターゲットは日本だ

水道橋博士

こっちです。「北朝鮮の核のターゲットは日本だ」。もちろん、二人とも「Yes」。

宮崎哲弥

「Yes」。

青山繁晴

「Yes」。明確に「Yes」。

水道橋博士

(カメラに向かって) あなたの家だ!

青山繁晴

いや、博士の家ですよ。

水道橋博士

僕の家だ。これは、先ほどから言うように、アメリカを狙っているわけではないと。

青山繁晴

負けるケンカはしないんです。朝鮮民族と漢民族はしたたか、戦争が弱いから、外交がしたたかで強いから、外交が上手なので、日本やドイツ人のように、戦争が強いと負けるケンカをするわけです。

だから、アメリカとなんて絶対にケンカしませんよ。常にラブコールじゃないですか。核実験もなにも、アメリカに対して。

水道橋博士

そうですよね。「二ヵ国協議にしてくれ」ってことですもんね。

ということは、日本自体は、人質に取られているというか、銃を突きつけられている状態ですよね。

宮崎哲弥

そう。銃を突きつけられているのに、突きつけられている認識がないでしょ。国民に。

水道橋博士

ないですね。

宮崎哲弥

これが、重大な問題なんです。

4 月の日米首脳会談 安倍首相の発言

青山繁晴

さっきの、安倍さんと会った時の外交の話、僕はちょっとだけ安倍さんを見直したのは、大統領と一対一の時に、六ヵ国協議のあの合意、2 月合意というのは、「裏切り」という言葉は使っていないけど、同じ意味の言葉を大統領にぶつけているし、それから、「アメリカの北朝鮮政策は何の効果もあげていない」と突っかかっていっている。

その後に、全体会合があって、その時に、ブッシュ大統領が、国務省のヒルさんを指して、「お前ここに来て説明しろ」と。ヒルさんはロボットみたいな歩き方をして、突っ立って弁明をした、というシーンが実はあった、ということなんです。それを会合に出た人に聞きましたけど、それは間違いないということでした。

ヒル国務次官補は無能

宮崎哲弥

ヒル国務次官補って無能なの?

青山繁晴

無能です。

水道橋博士

(笑)。

青山繁晴

僕は、前からメディアで「解任しろ」と。この間、ワシントンでも言いました。国防総省は「ヒルだけじゃなくてライスも解任しろ」と言うわけです。国防総省の大幹部がですよ。

宮崎哲弥

ライスは、中東は割とよく知っているんでしょう? 知らないの?

青山繁晴

いーやー。アメリカの中東政策って何の成果もあげていないじゃないですか。ロードマップどこにいったんですか。

宮崎哲弥

もちろん (笑)。

ライス国務長官も失格?

青山繁晴

本当にライスさんがわかるのは、ロシアの長期的な戦略とか、そういうのは得意だけど。中東もよくわかっていない。アジアはもちろん全然わかっていない。

宮崎哲弥

じゃあ、国務長官としては失格じゃない、完全に。

青山繁晴

失格です。

宮崎哲弥

ライス・ヒル路線ていうのは、どうしようもないっちゅーことだね。

水道橋博士

この辺のところね、テレビで解説していただくと、「アメリカはイランの方に肩入れしているので」、「中東の方にいっているので」…。

青山繁晴

「肩入れ」というのは、「イラン問題が大変だ」という意味ですね?

水道橋博士

そうですそうです。「こっちの朝鮮の方を置いておこう、ということなんだ」みたいに言うんですけど、その関連事項がよく見えていないんですよね。例えば、「イランと北朝鮮とが結びついているんだ」みたいな構図を知りたいんですよね。

青山繁晴

それはそのとおりで、その話はしますけれど、その前に、さっき言ったとおり、合衆国の外交は 2 種類に分かれていることを、絶対に覚えておいた方がいいです。

外交とは本来 2 種類に分かれている

青山繁晴

世界中がそうなの。日本以外には。というのは、軍事力をバックにした外交、軍事力を基本的にバックにしないで、援助を背景にした外交。軍事力をバックにした外交が国防総省です。戦争をするためだけにあるんじゃなくて、軍事力をバックにした外交をやるのが国防総省で、国務省は軍事力をバックにしない外交をやるわけです。だから、二つはいつもせめぎ合いがあるわけです。イギリスでも、フランスでも、ドイツでも、みんなそうなんです。日本だけがそれがないわけです。

宮崎哲弥

一言だけこれを付け加えておくと、要するに、外交というのは資源がいるわけ。リソースがいるわけ。外交の資源というのは「援助」か「軍事力」しかない。基本的には、もうちょっと細かいものはあるんだけど、大別すると「援助」か「軍事力」。これがなければ外交というものはできない。

青山繁晴

そのとおりです。

援助と軍事力がないと外交はできない

宮崎哲弥

日本は軍事力がないから、援助するしかないわけです。ここを押さえておかないといけない。日本の外交は、つまり、片肺なんです。

青山繁晴

だから、まず、それを踏まえて考えてほしい。

水道橋博士

なるほど。世界中では常識として二通りあると。日本人がわかっていないだけだと。

青山繁晴

そうです。だから、中東、特にイランが拡大していく、反米国家のイランが拡大していく、イラクの南半分を既に飲みこんだ状況にある。そこに対処するには、これは軍事的に対処せざるを得ないから、国防総省の外交は、そこしかやれない状況になっているわけです。

宮崎哲弥

一言だけちょっと付け加えさせて。日本の歪さっていうのは、新聞とか、リベラル派の人達っていうのは、「軍事力を使わないものが外交だ」というでしょう。「日本は軍事力がないけど、外交力があるんだ」とか「外交で勝負すべきだ」とか。これが根本的な無知なんだよ。

外交というのは、もう一度言うけど、「援助」というリソースか、「軍事力」というリソースがなければできないです。ここの部分を、日本人の「神話」っていうか「幻想」っていうのを打ち砕かないと…。

青山繁晴

いやあ、そのとおりです。聞いててスカッとしました。

水道橋博士

(笑)。

青山繁晴

いやいや、無理に言っているんじゃなくて、スカッとしました。そのとおりなんです。

アメリカの軍事力外交はイランで手いっぱい

青山繁晴

だから、軍事力を使ったアメリカ外交というのは、イランは難敵ですから、イラクみたいに弱くないから。

例えば、日本とアメリカの中に、イランの工作員の数はもの凄い数が入っていますから。正規戦で、イランは勝てないに決まっているから、イランと、もし事を構えたら、テロリストが必ず活動しますから。例えば、アメリカは FBI、連邦捜査局は「イランに手を出すのは止めてくれ」と言っているわけです。「誰がテロリストの面倒をみるんだ」と。FBI しかないから。

そのように、軍事力をバックにした外交が、全部そっちに取られたら、国務省は北朝鮮を一手に扱えるわけですから。だから、そこでアメリカのトータルすると、裏切りが起きている、と。

水道橋博士

ニュースでよく言う、「イランにアメリカは手いっぱいになっている」というのはそういう状態…。

宮崎哲弥

そういう意味なの。そういうことなの。

中東問題と北朝鮮の関係

青山繁晴

それで、さっきの博士の質問に答えると、北朝鮮とイランの関係、あるいはパキスタンまで含めて、非常に関係は深い。その深い関係に目が覚めて見ているのがイスラエルです。

ちょっと話が難しいかもしれないのですが、イスラエルという国がここ (中心) にあるじゃないですか。この頭の上 (イスラエルの上) に、レバノンという小さい国が貼り付いているでしょう。で、この辺 (イスラエルの右上) にイラクがあって、イラクを挟んでイランですよね。

この前、レバノンで、レバノンの南部にヒズボッラーっていますよね、神の党って意味ですけど、ヒズボッラーって実はイランですよね? 実際は。

宮崎哲弥

シーア派ですから。

水道橋博士

シーア派、民族的な…。

青山繁晴

イスラム教のシーア派。

水道橋博士

イランはシーア派の国だという事ですね。

青山繁晴

ええ。かつてペルシア帝国だったでしょう。ペルシア帝国は大きかったじゃないですか。それが今のイランにギューッと縮んだ時に、取り残された人々がいるわけです。サウジアラビアの北東部とか、レバノンの南部とか。ヒズボッラーっていうのは、イランの、言わば「出先機関」ですよね。

そのヒズボッラーが、イスラエル軍の兵士を二人誘拐したという事件があったら、いきなりイスラエル軍が、レバノン南部を空爆したでしょう。

水道橋博士

爆撃しましたね。

青山繁晴

あれは、もの凄い分かりやすいメッセージで、本当に誘拐された二人を取り返すんだったら、爆撃は絶対にしません。みんな死んじゃうから。必ず特殊部隊と工作員を入れるんですが、特殊部隊や工作員は一人も入れずに、いきなり全部を空爆したんです。

それは、イスラエルはメッセージを送っていて、今イスラエル国内で大揉めになっていますが、メッセージを送ったのは、「イランよ、お前が去年北朝鮮が実験したミサイルと核を買って、やがて撃ちこむことを考えているだろう? しかし、それをやるなら、我々はその前に空爆するぞ」というメッセージなんです。

というのは、さっき言った、去年 7 月に実験したノドンは、射程距離で言うと、前は 1,300 km だったのが、1,800 km に伸びている。1,800 km になったということは、イランがそれを買って、イランから直接イスラエルに撃ちこんだら届くんです。今までは届かなかったのに、届く。

それをイスラエルはよくわかっているから、「それをもし買ったならば、必ずその前に爆撃して、イランの関連施設を全部壊すぞ」と。「アメリカがどうとか関係ないぞ」というメッセージで、ヒズボッラーと戦っている。

水道橋博士

北朝鮮のミサイルっていうのは、いわゆる脅威と共に、イランに対するデモンストレーション、セールスというか、「ここまで精度が上がっていますよ」と見せているということですよね。

青山繁晴

イラン側は否定していますが、あの 実験の時、イラン軍の将校が 3 人いたという情報を、米・英・仏は採っています。イラン側は否定していることは公平に言っときますけどね

イスラエルは世界一厳しい国

宮崎哲弥

ですから、イスラエルという国は、世界で一番厳しい国。日本みたいに甘っちょろい国じゃないですから、もし中東の軍事バランスが壊れることがあれば、絶対に許さないです。どんなことがあっても阻止する。それがイスラエル。

だから、何でヨーロッパやアメリカが一生懸命イランを抑え込もうとしているかというと、アメリカは裏でイスラエルと通じている可能性はあるけれども…。

青山繁晴

いや、通じています。

宮崎哲弥

通じてる。通じているんだけれども、とにかくイスラエルがもし軍事行動に出てくると、これは中東戦争になりますから…。

青山繁晴

なります。第 5 次中東戦争に…。

宮崎哲弥

第 5 次中東戦争になる。それを一生懸命に食い止めようとしているわけですわ。

青山繁晴

半分余談ですけど、パレスチナの現場を歩くと、やっぱり「イスラエル、お前は間違っている」と思います。イスラエルの政府の人、軍の人にも言いましたけど。

あれね、元々は、やはりパレスチナ人の土地じゃないですか。旧約聖書の時代にユダヤの物だったと言われても、みんな納得できるはずがないでしょう。で、双方に言い分があるのに、いきなり壁を作っているじゃないですか。あの壁を見ると、ドイツでユダヤ人が最初に迫害された、あの時にゲットーって壁を作られて閉じ込められたわけでしょう。

それを、自分達がもう 1 回、パレスチナ人に対してやっているのは、僕はクリスチャン ホームに育ったから、余計に、あの聖書の世界から見てもおかしなことじゃないかと、一生懸命にイスラエルの政府や軍の人に言うんですが、やっぱり凄い興奮して反論するだけですね。

中東問題と北朝鮮はつながっている

水道橋博士

北朝鮮から中東にかけて、というのは、一体化した火薬庫になっているわけですね。

青山繁晴

そうです。だから博士の言うとおり、日本はそれをアメリカにもっともっと言うべきなんです。「北朝鮮問題だけを切り離すな」と。「中東と繋がっているじゃないか」と。

水道橋博士

わかりました。

さあ、続いてなんですが、「金正日 (キム ジョンイル) 政権は崩壊寸前だ」。


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