『博士も知らないニッポンのウラ』第 7 回 青山繁晴 - 前編 3

水道橋博士

さあ、「TV タックルでは語れない安全保障問題」として、今日は北野将軍もいませんからね、もっと語ってもらおうということで…。

青山繁晴

宮崎さん、まだ食ってる (笑)

水道橋博士

ガツガツ食わないと。時間がないから。

水道橋博士

今日は、「Yes」、「No」で答えていただきます。そして、そこで持論を語っていただくということで。

六ヵ国協議で北朝鮮の核放棄は実現できない

水道橋博士

最初の設問からいきます。「六ヵ国協議で北朝鮮の核放棄は実現できない」。

青山繁晴・宮崎哲弥

(二人とも「Yes」)

水道橋博士

二人とも YES ということですね。

2 月の合意文書は無意味

水道橋博士

六ヵ国協議、2 月の 13 日ですか、何か急転直下というか。今までの流れと変わって、アメリカに裏切られたみたいな感じが、我々はしたのですが。約束をしたわけですよね、色々と。

合意内容ですね。こういう、みなさんご存じだと思いますが、この約束、60 日経ちましたが実現されないと。

宮崎哲弥

この「初期段階」なんていうのは、「寧辺の核施設などの活動停止・封印」とかね、大したことないんですよ。

ここ (「初期段階」) までいっても「次の段階」にいくのは大変だし、ましてや終局的な核廃棄までいくのは、全く目処が立っていないし、見込みもないと、そういうのが現実です。

水道橋博士

あの、10 何年前の枠組み合意、あれが守られなかったから作られたわけじゃないですか。約束は破られたわけじゃないですか。それで新たな約束を結んで、「確実に破る」といわれる中、この合意を得るというのは、さっぱりわからないんですけど…。

2 月の合意は完全なアメリカの裏切り

青山繁晴

博士がさっき「裏切られたような」と言われましたが、これは完全な、アメリカによる日本への裏切りです。

水道橋博士

この合意を得たっていう…。

青山繁晴

僕がそれを勝手に言っているだけじゃなくて、この間、ワシントン D.C. に行った時に、国防総省の次官補クラスの人に、それを言いました。

答えは、「青山さん、それは、わが政府の国務省が裏切ったんだ」と。「国防総省はまだ裏切っているわけじゃない。いつか中東がどうにかなれば、日本に対する裏切りの問題は回復する」と。彼は非常にはっきり言いました。

アメリカって一括りでいうけど、実は分裂していると。アメリカの外交っていつもヨタヨタでいつも迷走する。どうしてか? いつも政権内部で分裂するから、というのは覚えていた方がいいです。

六ヵ国協議で逆に核存続が確定

青山繁晴

で、2007 年 2 月 13 日、六ヵ国協議の合意ができた日というのは、歴史に記憶されます。それはどうして記憶されるかというと、北朝鮮から核がなくなり始めた日じゃなくて、朝鮮半島の核が 2 度と消えないことが定まった日…。

宮崎哲弥

確定した日です。

青山繁晴

確定した日です

で、アメリカって、どこか抜けているというか、正直なところがあるから、この六ヵ国協議の合意の後に、アメリカのメディアも一部批判したでしょう? それに対して、大統領が「北朝鮮が去年の 10 月に実験した核を第三者に売らないことが大事だ」と言いましたね。その後、ライス国務長官が更に、「売ったらデッドラインだ」と言ったでしょう。

これは、コインの裏表で、それが表だとすると、裏を見たら、「つまり今持っている北朝鮮の核は OK だ」と。「それを、テロリストやイランのような第三国に売らなければ OK だ」と言っているわけですから。

もう 1 回表に戻ると、北がこれまで開発してきた核は、そこまでは認めるという意味です。アメリカの脅威にならなければ。

宮崎哲弥

でもね、それは青山さんはよくご存じだと思うけど、国務省の中に元々あったんですよ、この案は。要するに、封じ込めてしまえば、移動もさせないと。できれば、そんなに増産もさせないと。一番いけないのは、ならずもの国家とかテロリストに売らなければ、このままでいいじゃないかという見方は、国務省の中にずっとあったわけ。ところが、2007 年 2 月まで力が弱かったわけです。これが卒然と、やっぱりそれは、民主党が去年の中間選挙で勝った、共和党が負けた、というのが一番影響として大きかったと思うけど、卒然と力を増してきて、ライス・ヒル路線によって、この路線が明確になってきたわけです。そうなると、日本としては、ハシゴを外されたようなものですよね。

アメリカの過去を知れば核がなくならない事が分かる

青山繁晴

今、宮崎さんが言ったことはとても正しくて、アメリカのかつての核政策を普通に見たらわかることで。

中国が核を持ったのは、私達が東京オリンピックをやっていた真っ最中です。64 年 10 月。その時にアメリカは一旦怒ったけど、8 年後にはニクソンが訪中して核ごと中国を認めたわけです。インド・パキスタンも同様で、印・パキが核実験をやった後の 8 年後に、ブッシュ大統領がこの間歴訪して、核を認めたわけです。

だから、宮崎さんが言うとおり、その核を、中国とかあちこちに売ったらだめだけど、そうじゃなくて、自分で抱えて来んでいるなら、アメリカはむしろ核を持った国には優しくなっちゃうんです。

だから、日本から見たら、朝鮮半島が今後どのようになれ、仮に北朝鮮が崩壊して、例えば、統一高麗連邦なるものが仮にできたとしても核はなくならないから。だから、日本の中で、やがて上海万博が終わって、アジアがいよいよ動きはじめた時になると、日本の核武装論って絶対高まります。

北朝鮮に対しアメリカが軍事行動 あるとしたら、いつ?

水道橋博士

ちょっと、これはもう、後で聞きます。

でも、この合意を得て、約束を守っていかない北朝鮮がいる限り、「守らないから」ということを理由に、アメリカが「引き金」を引くっていうシナリオも…。

青山繁晴

ありえます。

宮崎哲弥

軍事行動をするってこと?

水道橋博士

そうですそうです。

青山繁晴

軍事行動までは…。

水道橋博士

あの、ボルトン元国連大使ですかね? インタビューに答えていて、「六ヵ国協議の合意は大間違いである。でも私がブッシュを信じるのは、これを守らない北朝鮮に対して引き金を引く可能性があるからだ。そっちを信じる」っていうふうに仰っていたんです。

青山繁晴

ボルトンさんの言っている引き金というのは、直ちに空爆をするという意味ではなくて、海上の軍事封鎖、完全な封鎖をして、そこに中国も実質的に協力か、黙認する。それが (聞き取れません) ていう意味なんです。

それに対して、北が強い行動に出たら、その後はピンポイント爆撃もありえるという意味です。

宮崎哲弥

私は、ブッシュ政権の間は、軍事行動に出る可能性というのは薄いと思う。

ところが、最も軍事行動を、この間主張してきているのは、実は民主党系なんです。ミサイル発射をした時に、先制攻撃論を唱えたペリーという人がいるでしょう。この人はクリントン政権で対北朝鮮交渉をやっていた人なわけ。民主党員、デモクラットなんです。

だから、ひょっとすると、民主党政権になった時に、それこそさっき青山さんが言ったように、上海万博が 2010 年ですよね。それ以降、東アジアの情勢というのは、もの凄く動きはじめるかもしれない。その時に、アメリカが民主党政権だった場合に、私は北朝鮮に対してアメリカが軍事行動をとる可能性が出てくると思います。

青山繁晴

同感です。

水道橋博士

キナ臭いですね。だって隣の国でそんなことになったりすると…。


inserted by FC2 system